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香取神宮摂社・膽男神社

香取神宮摂社・膽男神社。膽男は「まもりお」と読み、香取神宮の旧参道の、西の守りを担う。旧参道とはすなわち、利根川から川に臨む鳥居をくぐり、神道山の脇を抜け神宮へと向かう道である。 ご祭神は大己貴命で、大和は三輪山に坐して顕界から幽冥界を遍く主宰するという大物主神と同神ともされている神。

この神を祀る社の名に「膽」という文字が使われていることに、非常に深淵な意味を感じはしないだろうか。なぜなら、「膽」は「胆」の旧体字で、内臓の胆を表すばかりでなく、“心”“霊魂”“気力”などの内面的なものも表す字なのである。

顕界と幽冥界とは、言い換えれば肉体と精神、または意識と無意識であり、「膽」こそはまさにその両極を表現していると言える。大己貴神及び大物主神の神格にこんなに相応しい文字はない。表面だけでなく内からも守って下さる神様を、先人は参道の西の守りとした。そして、それを本来の読みではない「まもり」と読ませたことにも感心してしまう。

器用で柔軟、悪く言えば何でもありの日本語ならではの使用例とも言える。(成田市の麻賀多神社の由緒書きに 「キモ」という言葉が使われており、長らく意味を量りかねていたのだが、この「膽男神社」の「膽」の文字から、「キモ」は上記のような意味なのではないかと思うに至った。)麻賀多神社由緒についてはこちら

 

因みに、東の守りは「忍男神社」。ご祭神は忍男命ではなく、伊弉諾命。

 

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